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HOME > 本・書籍 > 人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書)
人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書) …1,500円以上で送料無料
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
求められる真摯な思索
(2007-11-07)
およそ戦争なるものは人類のあらゆる営みの中で悪の最たるものとの考え方の下、戦後の国連体制では自衛と集団安全保障以外については、全ての戦争・武力行使は押しなべて禁止されています。
しかしながら、世の中から戦争はなくなりません。もし仮に、隣国で罪無き人々、特に女性や子供たちが、民族的属性だけを理由として殺されていくとしたら、そして、武力を行使するしかその事態を防ぐことができず、しかも自分にはその能力があるとしたら、我々はどうすれば良いのでしょうか。戦争は悪であり、戦闘行為とは言え、人が人を殺そうと思って殺す、理由の如何を問わず、そんなことは許されるはずはない、それをしてしまったら、19世紀さながらの弱肉強食の世に戻ってしまう。そんな考え方もあるでしょう。また、逆に、罪なき人々の命が奪われていくことを放置せざるを得ないのであれば、何のための平和であり安寧なのか、個人としても倫理的に耐えられるのか、という意見もあることでしょう。
いずれにせよ、武力行使を伴う人道的介入の問題は、法とは何か、国家とは何か、人権とは何か、そして人の世の平和とは何か、そうした根源的な問いを含んでおり、また、法的・倫理的・価値論的に各個人のアイデンティティをも試す問題と言えましょう。
本書は、こうした重い問題を正面から取り上げ、きわめて平易な語り口のなかに、著者なりの悩みと考え方を示しています。問題への取り組みの姿勢には、極めて真摯なものを感じました。著者の結論には些かナイーブに過ぎる面があるように思われるものの、今後の世界の在り方を考えていくうえで、是非とも一読をおススメしたい一冊です。
人道的介入の理解のための「形」を与えてくれる一冊
(2006-12-05)
私は、人道的介入にあまり知識がなかったので、この本のおかげで少しは人道的介入の「形」についていろいろ見えたと思う。
その意味でこの本のもつ意味は大きい。
著者は、今までの人道的介入の事例を挙げ、繊細に議論を行っている。
その中で武力的介入のみならず、非武力的な市民的介入、そして当事者の「和解」を目的とした介入に焦点を当てている。
しかし、国際機構を「国々の利益が対立する場」との観点から捉えた場合、筆者のいうような人道的介入ができるのだろうか?
えらそうなことを言って、すいません。
確かに良書。が、しかし
(2006-01-26)
他の方々が述べるように、本書は「人道的介入」という行為について事例をあげ、わかりやすく述べつつ、自己の主張をしっかりと織り交ぜている。彼は基本的に「世界政府」という意味での国連という存在を尊重しているし、国際化社会においては尊重されねばならないというスタンスをとっていると思う。本書はあくまでそのスタンスのうえでのものだ。だが、必ずしも国連礼賛というわけではない。
むしろ、国連が国連としてあるべきためにどうすればいいのか、という提案をしている。だが、どうしても私には彼の言うことが理想的すぎやしないかと思えてしまう。レーニンが唱えたような、理論的には可能でも実現することがありえない理想郷のように聞こえてしまう。
しかし、人道的介入というものについて、問題点を浮き彫りにし、読者に考察を促すという点で、本書は非常に有用だ。同時に、国連という存在について、日本でももっと議論がなされてもいいのかもしれない。
人類が背負う重い課題
(2005-08-13)
人道的活動を行っている、国際赤十字にせよ、「国境なき医師団」にせよ、その思想的背景にはキリスト教的ヒューマニズムがあるはずである。もとより国連という組織そのものが、キリスト教的観念論の産物である。、国境を越えた共通善の構築に向けた動きの出自は、そもそも西洋であって、これにはカント以来の長い歴史がある。この書物の欠点を先取りして言えば、そうした人道主義の背後にある宗教思想的背景にあまり触れていないことである。これは、入江昭教授などの書物にも言えることだ。戦後パール・バックなどが行った戦争孤児の救済や、キリスト教世界主義の動きと、ジョージ・ブッシュなどの原理主義的聖戦論との相克は国境が文字通り喪失しつつある今日、より先鋭化しつつあると言える。もうひとつは、憲法改正問題と、自己犠牲がセットになると、「正戦」の方向に国家が引っ張られる可能性があり、著者の言う、人道主義的介入の思想はわが国においてははなはだ脆弱である。先のイラク人質事件での「自己責任」論議や、理念なき改憲の動きなどを見ていると、ここは相当慎重かつ詳細に議論されねばならない。以上が、欠点といえば欠点だが、もとよりたいした欠点ではなく、今後多くの日本人が、本書が提起する問題に正面から向き合うことを余儀なくされるであろう。重い課題である。
とても勉強になった。
(2004-11-18)
この本を読んで大学のレポートを書いた。人道的介入という言葉すらよく理解してしなかった私だが、この本を読んでかなり理解してきたと思う。一般的な人道的介入の定義(かなりあいまいなものだが…)や、実際の事例など、細かく載っている。最近のイラク問題にもつながるものなので、読んでおくとためになると思う。教授には批判的に読んでレポートを書きなさいと言われたが、正直批判できるところが少なく、困った。それくらい的を得ているのである。
おすすめ度:
求められる真摯な思索
およそ戦争なるものは人類のあらゆる営みの中で悪の最たるものとの考え方の下、戦後の国連体制では自衛と集団安全保障以外については、全ての戦争・武力行使は押しなべて禁止されています。
しかしながら、世の中から戦争はなくなりません。もし仮に、隣国で罪無き人々、特に女性や子供たちが、民族的属性だけを理由として殺されていくとしたら、そして、武力を行使するしかその事態を防ぐことができず、しかも自分にはその能力があるとしたら、我々はどうすれば良いのでしょうか。戦争は悪であり、戦闘行為とは言え、人が人を殺そうと思って殺す、理由の如何を問わず、そんなことは許されるはずはない、それをしてしまったら、19世紀さながらの弱肉強食の世に戻ってしまう。そんな考え方もあるでしょう。また、逆に、罪なき人々の命が奪われていくことを放置せざるを得ないのであれば、何のための平和であり安寧なのか、個人としても倫理的に耐えられるのか、という意見もあることでしょう。
いずれにせよ、武力行使を伴う人道的介入の問題は、法とは何か、国家とは何か、人権とは何か、そして人の世の平和とは何か、そうした根源的な問いを含んでおり、また、法的・倫理的・価値論的に各個人のアイデンティティをも試す問題と言えましょう。
本書は、こうした重い問題を正面から取り上げ、きわめて平易な語り口のなかに、著者なりの悩みと考え方を示しています。問題への取り組みの姿勢には、極めて真摯なものを感じました。著者の結論には些かナイーブに過ぎる面があるように思われるものの、今後の世界の在り方を考えていくうえで、是非とも一読をおススメしたい一冊です。
人道的介入の理解のための「形」を与えてくれる一冊
私は、人道的介入にあまり知識がなかったので、この本のおかげで少しは人道的介入の「形」についていろいろ見えたと思う。
その意味でこの本のもつ意味は大きい。
著者は、今までの人道的介入の事例を挙げ、繊細に議論を行っている。
その中で武力的介入のみならず、非武力的な市民的介入、そして当事者の「和解」を目的とした介入に焦点を当てている。
しかし、国際機構を「国々の利益が対立する場」との観点から捉えた場合、筆者のいうような人道的介入ができるのだろうか?
えらそうなことを言って、すいません。
確かに良書。が、しかし
他の方々が述べるように、本書は「人道的介入」という行為について事例をあげ、わかりやすく述べつつ、自己の主張をしっかりと織り交ぜている。彼は基本的に「世界政府」という意味での国連という存在を尊重しているし、国際化社会においては尊重されねばならないというスタンスをとっていると思う。本書はあくまでそのスタンスのうえでのものだ。だが、必ずしも国連礼賛というわけではない。
むしろ、国連が国連としてあるべきためにどうすればいいのか、という提案をしている。だが、どうしても私には彼の言うことが理想的すぎやしないかと思えてしまう。レーニンが唱えたような、理論的には可能でも実現することがありえない理想郷のように聞こえてしまう。
しかし、人道的介入というものについて、問題点を浮き彫りにし、読者に考察を促すという点で、本書は非常に有用だ。同時に、国連という存在について、日本でももっと議論がなされてもいいのかもしれない。
人類が背負う重い課題
人道的活動を行っている、国際赤十字にせよ、「国境なき医師団」にせよ、その思想的背景にはキリスト教的ヒューマニズムがあるはずである。もとより国連という組織そのものが、キリスト教的観念論の産物である。、国境を越えた共通善の構築に向けた動きの出自は、そもそも西洋であって、これにはカント以来の長い歴史がある。この書物の欠点を先取りして言えば、そうした人道主義の背後にある宗教思想的背景にあまり触れていないことである。これは、入江昭教授などの書物にも言えることだ。戦後パール・バックなどが行った戦争孤児の救済や、キリスト教世界主義の動きと、ジョージ・ブッシュなどの原理主義的聖戦論との相克は国境が文字通り喪失しつつある今日、より先鋭化しつつあると言える。もうひとつは、憲法改正問題と、自己犠牲がセットになると、「正戦」の方向に国家が引っ張られる可能性があり、著者の言う、人道主義的介入の思想はわが国においてははなはだ脆弱である。先のイラク人質事件での「自己責任」論議や、理念なき改憲の動きなどを見ていると、ここは相当慎重かつ詳細に議論されねばならない。以上が、欠点といえば欠点だが、もとよりたいした欠点ではなく、今後多くの日本人が、本書が提起する問題に正面から向き合うことを余儀なくされるであろう。重い課題である。
とても勉強になった。
この本を読んで大学のレポートを書いた。人道的介入という言葉すらよく理解してしなかった私だが、この本を読んでかなり理解してきたと思う。一般的な人道的介入の定義(かなりあいまいなものだが…)や、実際の事例など、細かく載っている。最近のイラク問題にもつながるものなので、読んでおくとためになると思う。教授には批判的に読んでレポートを書きなさいと言われたが、正直批判できるところが少なく、困った。それくらい的を得ているのである。


