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HOME > 本・書籍 > 金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス (岩波新書)
金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス (岩波新書) …1,500円以上で送料無料
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
米国発金融革命の断罪
(2009-01-10)
プルードンを高く評価する1943年生まれの経済学研究者が、2008年に刊行した本。1970年代以来、「ノーベル経済学賞」(アルフレッド・ノーベルを記念するスウェーデン国立銀行による経済科学賞)を相次いで受賞することになるシカゴ学派やフリードマンの理論に基づき、米国型金融システムが強大な構造的権力として登場した。それは金持ちの短期の会員制クラブとしてのヘッジファンドに典型的に見られるように、生産を軽視したマネーゲームであり、不明瞭な基準による格付けをもとに、さまざまな債権を束ねて証券化し、グローバルな規模で他者にリスクを無限に分散・転嫁するものであり、間接金融から直接金融への転換、金融の短期化とハイリスク化、実態把握の困難を帰結した。この「金融革命」は結局、2007年のサブプライムローンの破綻によってグローバルな規模でその問題性を露呈し、ドル基軸体制の終焉を顕在化させたと本書は主張し、グラミン銀行、NPO銀行(法によってつぶされかかっているが)、イスラム金融、ラテンアメリカのバンコデルスル(南の銀行)、ESOP(従業員持株制度)などのオルタナティヴな金融の在り方の事例を紹介している。全体的に米国型金融システムとそれを支える経済理論、「ノーベル経済学賞」に対する断罪色が強いことが本書の特徴であり、それはそれで正しいと思うが、資本主義経済の展開史の中でのその位置付けに関して、物足りなさを感じる。そのためにも、国際分業の在り方をもう一度再考する必要があると思われるが、その点では発展途上であるとはいえ、第六章の具体例が興味深い。
いまこそ、新たな「金融」を考える時である。
(2008-12-31)
今年を振り返れば、サブプライム危機からはじまり、リーマンショックをきっかけとして金融危機そしていまや世界同時不況という様相が深刻化しつつある中で一年を終えようとしている。
本書は、この世界同時不況の根源でもある「金融」に焦点を当てて、なぜ世界経済がこのような状況に陥ってしまったのかを、歴史的に解き明かしている。金融危機をめぐって、実に様々な書物が出版されているが、それらの中でも本書は最も優れた一冊である。
著者の考えは、明確である。戦後日本の驚異的な発展に貢献してきた日本の銀行システムは、アメリカからの構造改革という名の圧力により解体され、根拠のない自己資本比率規制がかけられ、日本を支えていた間接金融は弱体化してしまった。
その一方で進められてきた直接金融の弊害が、短期的利益追求にいっそうの拍車がかかり、債権の証券化とリスクの他者への転嫁が行き着いた先が、サブプライム危機である。
この流れをさかのぼれば、ミルトン・フリードマンを代表とするシカゴ学派による市場の自由化がある。
この市場こそが自由という考え方に対して、世界初の先物市場「堂島米会所」の事例は、今の原油や穀物価格の急騰と下落の流れと完全に相似形をなしていることに、歴史に学ばない人類の悲しさを感じてしまう。
戦後の日本の主食であった米は、食管会計制度によって高騰が避けられ、多くの日本人を飢えから救ってきた。この時に、デリバティブのような市場放任制度を持ってきたら、庶民の生活は、確実に破壊されていただろうと断言している。
いまこそ、新たな「金融」を考える時である。
何を説明したいのか
(2008-07-22)
金融関連事象を経済学理論などを使用して説明を試みているが、いずれも中途半端な形に終わっていく気がしてならない。又、金融商品などに関してはかなり誤解しているのか、デメリットのみ取り上げているのか、金融権力というタイトルからその様にしているのか、読む場合には気をつけて読む必要がある。
アメリカの金融支配モデルの問題は否定できず、その問題点を扱った書籍は多々あるので、本書での説明もその一つと考えて比較して読むことをお勧めします。
最新経済事象を陰謀理論で解説した書
(2008-07-19)
「グローバル経済とリスク・ビジネス」という副題に惹かれてこの本を読み始めたが、「陰謀理論」の色彩があまりに色濃くて、正直驚いた。CDOを短期債としている点等、内容的にも?の点が多く、経済学者が書いた本とはとても思えない。また、ESOPを手放しで礼賛する一方、業績連動報酬制度を切り捨てる思考もよく理解できない。最近の岩波新書らしい出来の一冊。
金融経済、資本主義の隘路
(2008-07-13)
この本読むと、長らく続いてきた金融経済、もっと言っちゃうと資本主義ってもの自体が大きな曲がり角、あるいは隘路に陥っちゃってるってのを切実に感じるね。サブプライムローン問題なんて、最初は対岸の火事程度にしか認識していなくってお恥ずかしい限りなんだけど、いまやグローバルに“実体経済なんてどこにも無い”んだよね。著者言うところの「カネこそが商品」であって。格付け会社が幅を利かせる金融権力最先端の国アメリカとは一線を画していた日本ですら、ホリエモン(超懐かしい!)、村上ファンドなんて事象が世間を騒がせる位、金融権力が市民権を得てしまってる訳だけど、本家本元のアメリカが、サブプライムローン問題では、まったくなすすべが無かったってのはショックだよな。グローバル化も金融権力もある種イケイケドンドンで、てめえらのこと、直近のことしか考えていなくて、破滅に向かっていることを知りつつもあえて知らないふりをしているってのはやっぱりどうかと思うぜ!今は「環境」にしても「エネルギー」にしても「金融」「経済」の枠組みの中で語られているけど、近い将来、「金融」「経済」って枠組み自体が、“グローバルに”崩壊しちゃう危険性だってある訳だからさ。もう「環境」も「エネルギー」もお題目の段階じゃないんだぜ、きっと。
この本のシメの言葉、「いま求められているのは、「自由」の美名の下で金融ゲームに走る金融権力をいかに制御するのか、という社会の知恵である」、これ、ほんと本気で考えないとね。いつの時代でも、気がついた時には「おまえはすでに死んでいる」ってことなのかもしれないけどさ。
おすすめ度:
米国発金融革命の断罪
プルードンを高く評価する1943年生まれの経済学研究者が、2008年に刊行した本。1970年代以来、「ノーベル経済学賞」(アルフレッド・ノーベルを記念するスウェーデン国立銀行による経済科学賞)を相次いで受賞することになるシカゴ学派やフリードマンの理論に基づき、米国型金融システムが強大な構造的権力として登場した。それは金持ちの短期の会員制クラブとしてのヘッジファンドに典型的に見られるように、生産を軽視したマネーゲームであり、不明瞭な基準による格付けをもとに、さまざまな債権を束ねて証券化し、グローバルな規模で他者にリスクを無限に分散・転嫁するものであり、間接金融から直接金融への転換、金融の短期化とハイリスク化、実態把握の困難を帰結した。この「金融革命」は結局、2007年のサブプライムローンの破綻によってグローバルな規模でその問題性を露呈し、ドル基軸体制の終焉を顕在化させたと本書は主張し、グラミン銀行、NPO銀行(法によってつぶされかかっているが)、イスラム金融、ラテンアメリカのバンコデルスル(南の銀行)、ESOP(従業員持株制度)などのオルタナティヴな金融の在り方の事例を紹介している。全体的に米国型金融システムとそれを支える経済理論、「ノーベル経済学賞」に対する断罪色が強いことが本書の特徴であり、それはそれで正しいと思うが、資本主義経済の展開史の中でのその位置付けに関して、物足りなさを感じる。そのためにも、国際分業の在り方をもう一度再考する必要があると思われるが、その点では発展途上であるとはいえ、第六章の具体例が興味深い。
いまこそ、新たな「金融」を考える時である。
今年を振り返れば、サブプライム危機からはじまり、リーマンショックをきっかけとして金融危機そしていまや世界同時不況という様相が深刻化しつつある中で一年を終えようとしている。
本書は、この世界同時不況の根源でもある「金融」に焦点を当てて、なぜ世界経済がこのような状況に陥ってしまったのかを、歴史的に解き明かしている。金融危機をめぐって、実に様々な書物が出版されているが、それらの中でも本書は最も優れた一冊である。
著者の考えは、明確である。戦後日本の驚異的な発展に貢献してきた日本の銀行システムは、アメリカからの構造改革という名の圧力により解体され、根拠のない自己資本比率規制がかけられ、日本を支えていた間接金融は弱体化してしまった。
その一方で進められてきた直接金融の弊害が、短期的利益追求にいっそうの拍車がかかり、債権の証券化とリスクの他者への転嫁が行き着いた先が、サブプライム危機である。
この流れをさかのぼれば、ミルトン・フリードマンを代表とするシカゴ学派による市場の自由化がある。
この市場こそが自由という考え方に対して、世界初の先物市場「堂島米会所」の事例は、今の原油や穀物価格の急騰と下落の流れと完全に相似形をなしていることに、歴史に学ばない人類の悲しさを感じてしまう。
戦後の日本の主食であった米は、食管会計制度によって高騰が避けられ、多くの日本人を飢えから救ってきた。この時に、デリバティブのような市場放任制度を持ってきたら、庶民の生活は、確実に破壊されていただろうと断言している。
いまこそ、新たな「金融」を考える時である。
何を説明したいのか
金融関連事象を経済学理論などを使用して説明を試みているが、いずれも中途半端な形に終わっていく気がしてならない。又、金融商品などに関してはかなり誤解しているのか、デメリットのみ取り上げているのか、金融権力というタイトルからその様にしているのか、読む場合には気をつけて読む必要がある。
アメリカの金融支配モデルの問題は否定できず、その問題点を扱った書籍は多々あるので、本書での説明もその一つと考えて比較して読むことをお勧めします。
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「グローバル経済とリスク・ビジネス」という副題に惹かれてこの本を読み始めたが、「陰謀理論」の色彩があまりに色濃くて、正直驚いた。CDOを短期債としている点等、内容的にも?の点が多く、経済学者が書いた本とはとても思えない。また、ESOPを手放しで礼賛する一方、業績連動報酬制度を切り捨てる思考もよく理解できない。最近の岩波新書らしい出来の一冊。
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この本読むと、長らく続いてきた金融経済、もっと言っちゃうと資本主義ってもの自体が大きな曲がり角、あるいは隘路に陥っちゃってるってのを切実に感じるね。サブプライムローン問題なんて、最初は対岸の火事程度にしか認識していなくってお恥ずかしい限りなんだけど、いまやグローバルに“実体経済なんてどこにも無い”んだよね。著者言うところの「カネこそが商品」であって。格付け会社が幅を利かせる金融権力最先端の国アメリカとは一線を画していた日本ですら、ホリエモン(超懐かしい!)、村上ファンドなんて事象が世間を騒がせる位、金融権力が市民権を得てしまってる訳だけど、本家本元のアメリカが、サブプライムローン問題では、まったくなすすべが無かったってのはショックだよな。グローバル化も金融権力もある種イケイケドンドンで、てめえらのこと、直近のことしか考えていなくて、破滅に向かっていることを知りつつもあえて知らないふりをしているってのはやっぱりどうかと思うぜ!今は「環境」にしても「エネルギー」にしても「金融」「経済」の枠組みの中で語られているけど、近い将来、「金融」「経済」って枠組み自体が、“グローバルに”崩壊しちゃう危険性だってある訳だからさ。もう「環境」も「エネルギー」もお題目の段階じゃないんだぜ、きっと。
この本のシメの言葉、「いま求められているのは、「自由」の美名の下で金融ゲームに走る金融権力をいかに制御するのか、という社会の知恵である」、これ、ほんと本気で考えないとね。いつの時代でも、気がついた時には「おまえはすでに死んでいる」ってことなのかもしれないけどさ。


