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HOME > 本・書籍 > ことばの食卓 (ちくま文庫)
ことばの食卓 (ちくま文庫) …1,500円以上で送料無料
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
思い出は皿の上の果物のようにごろんとそこにある
(2008-07-30)
ほかの物書きの人に比べて武田百合子さんは読者にとても「愛されている」という印象が強くて、かねてから不思議だったのですが、この本を初めて読んでその理由が実感として納得できました。なんと魅力的な文章なのでしょう。皆さんにも是非魅了されてほしい、と思いおすすめします。虹や飛行機雲を発見したときの気持ですね。だれかれ構わず「ほらほら見て見て」と声をかけたくなるという。
収録されているのは、広い意味で食べるものや食べることにまつわる文章です。ほとんどが随筆といえるものだと思いますが、ちょっとフィクションぽいものもいくつか。なにか特別な食べ物が出てくるわけではなく、ごくありきたりの食べ物をきっかけとして幼い頃の思い出が語られたり、お嬢さんと出かけたさきで普通に食事したり…… 当たり前ですが生きることと食べることは表裏一体で、だからどんなにありふれた食事でも、大切なひとの思い出や忘れられない出来事やなんとなく気になる奇妙な経験やらと切り離せないかたちでひとつひとつが妙に印象に残っていたりするのですね。
個人的には主に前半部分に収録された、幼い頃の思い出をめぐるエッセイがどれも大変印象深いものでした。なつかしくいとおしいけれども美しいばかりではないもろもろの記憶が、うすっぺらい感傷の入らないいっそ即物的といっていいような文章(よくいわれる「無垢の」とはこういうことでしょうか)で語られ、それがかえって深いところで思い出にまつわるすべてを生き生きと輝かせていて、著者の文章の魅力が最もよく味わえる気がします。
ほぼ各編にひとつそえられた野中ユリさんの、古い西洋の書物を連想させる銅版画(?)も、合ってるような合ってないような微妙なバランスで、この書物に不思議な魅力を加えています(ひとついえるのは、挿画が、もっと内容に即したもの(例えば「枇杷」に枇杷の絵とか)だったり、見るからに素朴なタッチの絵だったりしたらかえって台無しだろうなと)。
唯一無二のエッセイ
(2007-12-25)
これ以上の随筆というものは自分にとってないかも、
と思うくらい魅力を感じ続けている一冊です。
物事を見たそのままに切り取る作者の目と感性の斬新さに驚き、
笑い、泣きそうになります。
ありのままに、時に残酷なくらい鋭く物事を描き出しながらも
同時に文章には作者のまっすぐな優しさが貫かれていると思う。
天衣無縫、おおらかで大胆なイメージも強い作者だけれど
この本の中の、特に過去の記憶をたどる文章では、その繊細さや孤独が
強く感じられるような気がします。
もう何度繰り返し読んだかわかりません。
それでも飽きないし、大好きな本です。
純粋無垢というよりは野性的な感覚
(2007-10-18)
記憶の中のちょっとした出来事を独特の感性と言葉で書いている。
この人の本の不思議なところは、明らかに普通の人とは違う感覚や行動をしているのに、文章がさりげなく、登場人物や作者自身に非常に親近感がわく所ではないかと思う。
加えて、さらりと綺麗なだけじゃなく、毒もある。
簡単に読めるのに胸にぐさりと刺さる所があって、病みつきになって何度も読んでしまう。
どの話もいいが、やはり一番は「枇杷」。最後の表現は純粋というより野性的で、唯一無二。
ずっと本棚に残しておきたい本。
ほかに誰も書けない
(2004-05-21)
穏やかで平凡な題名とはかなり違った内容の本。いったい、武田百合子という人は天才的な素人なのか、素人のふりをしている天才なのか。
冒頭の「枇杷」を読んで、茫然となる。だいぶ後からじわっと涙が出た。亡くなった自分の夫の記憶をこんな文章で表現できる人って、ちょっといない。
とっても新鮮なセンスを楽しめますよ
(2001-11-04)
武田百合子さんの、なにものにもとらわれていない無垢な五感(味覚にかぎらず!)がつむぎだす、新鮮な文章が素敵なエッセイ集です。味覚の記憶のなかに、ひそかに”死”の影をひそませた「枇杷」や「牛乳」は何度読んでもしみじみとしてしまう、あきない文章です、お薦めです。
おすすめ度:
思い出は皿の上の果物のようにごろんとそこにある
ほかの物書きの人に比べて武田百合子さんは読者にとても「愛されている」という印象が強くて、かねてから不思議だったのですが、この本を初めて読んでその理由が実感として納得できました。なんと魅力的な文章なのでしょう。皆さんにも是非魅了されてほしい、と思いおすすめします。虹や飛行機雲を発見したときの気持ですね。だれかれ構わず「ほらほら見て見て」と声をかけたくなるという。
収録されているのは、広い意味で食べるものや食べることにまつわる文章です。ほとんどが随筆といえるものだと思いますが、ちょっとフィクションぽいものもいくつか。なにか特別な食べ物が出てくるわけではなく、ごくありきたりの食べ物をきっかけとして幼い頃の思い出が語られたり、お嬢さんと出かけたさきで普通に食事したり…… 当たり前ですが生きることと食べることは表裏一体で、だからどんなにありふれた食事でも、大切なひとの思い出や忘れられない出来事やなんとなく気になる奇妙な経験やらと切り離せないかたちでひとつひとつが妙に印象に残っていたりするのですね。
個人的には主に前半部分に収録された、幼い頃の思い出をめぐるエッセイがどれも大変印象深いものでした。なつかしくいとおしいけれども美しいばかりではないもろもろの記憶が、うすっぺらい感傷の入らないいっそ即物的といっていいような文章(よくいわれる「無垢の」とはこういうことでしょうか)で語られ、それがかえって深いところで思い出にまつわるすべてを生き生きと輝かせていて、著者の文章の魅力が最もよく味わえる気がします。
ほぼ各編にひとつそえられた野中ユリさんの、古い西洋の書物を連想させる銅版画(?)も、合ってるような合ってないような微妙なバランスで、この書物に不思議な魅力を加えています(ひとついえるのは、挿画が、もっと内容に即したもの(例えば「枇杷」に枇杷の絵とか)だったり、見るからに素朴なタッチの絵だったりしたらかえって台無しだろうなと)。
唯一無二のエッセイ
これ以上の随筆というものは自分にとってないかも、
と思うくらい魅力を感じ続けている一冊です。
物事を見たそのままに切り取る作者の目と感性の斬新さに驚き、
笑い、泣きそうになります。
ありのままに、時に残酷なくらい鋭く物事を描き出しながらも
同時に文章には作者のまっすぐな優しさが貫かれていると思う。
天衣無縫、おおらかで大胆なイメージも強い作者だけれど
この本の中の、特に過去の記憶をたどる文章では、その繊細さや孤独が
強く感じられるような気がします。
もう何度繰り返し読んだかわかりません。
それでも飽きないし、大好きな本です。
純粋無垢というよりは野性的な感覚
記憶の中のちょっとした出来事を独特の感性と言葉で書いている。
この人の本の不思議なところは、明らかに普通の人とは違う感覚や行動をしているのに、文章がさりげなく、登場人物や作者自身に非常に親近感がわく所ではないかと思う。
加えて、さらりと綺麗なだけじゃなく、毒もある。
簡単に読めるのに胸にぐさりと刺さる所があって、病みつきになって何度も読んでしまう。
どの話もいいが、やはり一番は「枇杷」。最後の表現は純粋というより野性的で、唯一無二。
ずっと本棚に残しておきたい本。
ほかに誰も書けない
穏やかで平凡な題名とはかなり違った内容の本。いったい、武田百合子という人は天才的な素人なのか、素人のふりをしている天才なのか。
冒頭の「枇杷」を読んで、茫然となる。だいぶ後からじわっと涙が出た。亡くなった自分の夫の記憶をこんな文章で表現できる人って、ちょっといない。
他に印象的だった個所は、天井裏にお雛様がしまわれていると思い込んでいた子供の頃のイメージ(雛祭りの頃)、骨董の柱時計を買って帰る途中にその時計が鳴り始めたときの描写(上野の桜)など。呆けかけている老女が語り続ける「花の下」、かなしくて愛らしい。
イラストがあまり合っていない気がするのが残念...。
とっても新鮮なセンスを楽しめますよ
武田百合子さんの、なにものにもとらわれていない無垢な五感(味覚にかぎらず!)がつむぎだす、新鮮な文章が素敵なエッセイ集です。味覚の記憶のなかに、ひそかに”死”の影をひそませた「枇杷」や「牛乳」は何度読んでもしみじみとしてしまう、あきない文章です、お薦めです。


